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あいうえおままごと帳

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「ね」ぇねぇ

おじいさん、おしえて。
世の中に、変わらないものってあるの?


ーないんだよ。サリー。

夏に鳴いていた蝉が、秋にはいなくなってしまうように。コップが割れて壊れてしまうように。
去年から来年になるように、移り変わっていくんだよ。


ねぇねぇ

おじいさん、おしえて。
私も変わっちゃうの? 私じゃなくなっちゃうの?

ーそうだよ。

サリーはサリーのままだけど、どんどん形はかわっていくんだよ。
赤ちゃんのときに着ていた服が着れなくなるように。
植物が種から花が咲いて、散ってしまうようにね。


ねぇねぇ

おじいさん、おしえて。
じゃあいつかおじいさんも、変わってしまうの?

ーそうだね。

おじいさんもだいぶ変わってきて、いまこんな風貌さ。
もうこんなに白髪だらけだから、サリーと一緒にいられる時間もあと少しかもしれないね。


いやだ。

おじいさん、おしえて。
わたし、おじいさんがいなくなったら嫌だ。もう会えなくなっちゃうの?

ーああ、それだけはNOだよ。

おじいさんがいなくなっても、サリーへの想いはそのままさ。愛っていうものは、形がなくても心に生き続けるんだよ。
唯一変わらないものだよ。
だから大丈夫。いつでも会える。
ああ、サリー、愛してるよ。





ここでもいい。
ここしかない。

トコトコ。
公園。
ポツポツ。
街中。

ネオンの陰で。
その輝きを見つけたかった。

届かない景色。
残り香で、たどった。
想像の記憶。
その訳を知りたかった。

いつまでも月を欲しがるわたしを、
そうやって笑って。
見つめて。
つつんで。
一緒に泣いて。

見上げた空から降ってきた。
ここじゃない。
負けず嫌いの、答え。

もらった地図は、
そう、あの街のどこかに置いてきたんだ。


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youtubeから音源お借りしました。
ありがとうございます。
くるりの「東京」に
過去の自分を重ね、とてつもなくインスピレーションを感じました故。
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「ぬ」ぬるいコーヒー

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ぬるいコーヒーほど飲めないものはない。
淹れたてのものとは、何か違う味がする。

もちろんコーヒーだって、初めからぬるいわけじゃない。
笑顔の店員さんには「ホットコーヒーをください」と注文しているし。

いやぁ。
しかし私は、ぬるいコーヒーを飲む機会が多い。

読みかけの雑誌を読んでいるうちに、
思いついたコトバをメモに書きとめているうちに、
好きな音楽を聴きながらぼんやりと、映画の女優を演じているうちに、
大好きな友達と取り留めのない人生話・恋愛話を繰り広げているうちに。

そんなとき、いつもそこにある。
幸せで大切な時間と引き換えに、コーヒーはぬるくなっていくのね。

そうだ忘れていた、ケーキセットを頼んだのだった。
こんなにおしゃれしてお皿に乗っているケーキが台無しね。
ごめんねといいながら、またコップに手を伸ばす。

日々是空間論

終電間近の改札前


駅前の改札。

たいていそこには小さな広場があり、基本的には駅の出口で乗車券や定期券の回収箇所である。
しかし、その駅の改札前では毎日様々な人間物語が繰り広げられている。

特に終電が迫っているときは、、。

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改札前の柱の下で泣いている女の子がいる。
通りすがる人たちもなんとなく気になるのだろう。ちらっと横見しては通り過ぎていく。
女の子はしきりに鼻をすすりながら、携帯を握り締めている。
携帯を覗き込んでは、また泣き、また覗く。
世の中の涙には、うれし泣きというものもあるが、こればかりはそうは思えない涙だ。
すると何か突然吹っ切れたかのように、改札に向かって走っていく。
その顔からは、涙はもうなかった。


飲み会帰りなのだろう。

ほろ酔い気分の学生さんたちがわいわいと会話をしながら、やってくる。
「ほな、また明日ねー。」「あ、言ってたやつ、持ってきてやぁー。」「おっけー!!」
最後の挨拶もそぞろに、それぞれの乗り場に向かっていく。
また明日も会えるという、その当たり前のようで実は特別な約束が、とても自然にかわされていく。今日はさりげなく終わっていく物語も、いつか振り返ったときに懐かしい物語になるんだろう。


一定の距離を保って歩いてくる男女ふたり。

改札の前で、向き合って何か話をしている。
笑顔で手を振りながら改札の向こうに歩いていく女の子に向かって、恥ずかしげに手を振る男の子。
きっと次、ここで2人を見るときには、もっと寄り添って歩いているんだろう。


たくさんの物語が繰り広げられる、終電間近の改札前。

終電は、今日というイベントの終わりを告げるアラームであり、

改札前は、その終わりを自ら受け入れるために設けられた節目なのだと思う。
いわゆる決断を下す場所。
だから、改札前には物語が生まれるのだと思う。
人間というものは、終わりが見えて初めて自分と見つめ直すものなのか?


終わりが見えたときの時間が生む、空間。

普段はただの改札口が、この場合だけは、「それぞれの大切な場所」となる。


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日々是空間論
カフェ


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カフェ。

みんなは、どんなときにカフェに行く?
みんなにとって、カフェはどんな場所?

ちょっと歩き疲れたときに、立ち寄る場所。

待ち合わせまでの空き時間、ふらっと入ってつぶせる場所。

お腹空いたーってランチで駆け込む場所。

その時々で理由は何だっていい。
みんなは、お気に入りのお店ってある?


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カフェって、気づかないうちに私たちの生活に根付いてきてるけど、
元々の意味はなんなのだろう?


本来は、コーヒーの意味。転じて、コーヒーなどを飲ませる飲食店を意味する。 新聞や雑誌がそこで読め、時の話題について談笑し、情報交換のできる場所として親しまれている。現在の日本ではほぼ喫茶店等飲食のできる、カフェバー、インターネットカフェ、オープンカフェなどのような業種の総称として使われている。 (wikipediaから)


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ここから、
私の空間論的に語らせていただくと、カフェというのは、

癒しを得られるリラックス空間
なのです。


そのために、コーヒーやスイーツ、音楽、インテリアや照明、店員さんも含めたパーツが空間に用意されてるの。

組み合わせ方は、カフェオーナーさんのセンスでオリジナル。
空間の色づけ方はそのお店次第。


コーヒーがおいしいからこの店は流行ってるとか、目立ったパーツだけ見えがちだけど本質はそこにないと思う。

そのコーヒーがその空間で飲めるから、美味しいと感じるのだと思う。

コーヒーがまずくたって通いたくなる店だってある。
店員さんがかわいいとかねw
まぁつまりは、いいなと思う箇所が人によって違ってもいいのだ。


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私にも何箇所かあります。
お気に入りの店。
なぜか頭の片隅にずっとあって、ふと行きたいなと思うお店。

もしかしたら、お気に入りのカフェを聞いてみたら、その人となりが分かるかもね!

居心地の良さを感じる所は、一律じゃなくって人それぞれだもの。
あなたの好きなカフェを教えてください。


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日々是空間論

段ボール



段ボール。
だんだんぼーる。

段ボールは意外と身近に存在します。


紙やら、服やら、、たくさんのものが入るので入れ物として役立ちます。

お引っ越しのときなんか、山ほど積み上がります。
積み上がったその姿は、荷物の高層マンションといえるでしょう。
一階は冬服さん、二階は夏服さん、三階はおなべや食器たち。
騒がしく話し声が聞こえてきそうです。


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人間さまだって、お世話になるときがあります。

もらわれ猫ちゃんのように、なかに入ってみてください。

おもいの外暖かいし、外からの音も聞こえません。
なんだか落ち着ける寝室の出来上がりです。


そういえばむかし、段ボールをくっつけて土管みたいなものを作らなかった?

すこし薄暗くて、柔らかい。
ちょっと太めのあのこだって通れちゃう、
ついでに、ネズミのきもちがわかるでしょ♪


やっぱり寒い季節には、みかんはいかが?

はこの中には黄色いみかんがたぁっくさん。
美味しくてすこし甘酸っぱい匂いでいーっぱい!
はこの中ではみんなでわいわい雑談中。
誰が一番にたべてもらえるか、みんなで競争してるかもね。


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「に」にがい

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にがいコーヒーを飲みたい気分。

にかいの窓際の席にいる。

にじが見える、そういえばこの店に入る前に雨が振ってたかしら。

にんげんの記憶なんて本当にアテにならないものね。

にしに沈む太陽が、少しまぶしい。

ニット帽が似合うあの子とは、さっきお別れしたばかり。

あぁ、

にがいコーヒーが今日はうまい。

「な」ながい道

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道は、どこまでも続く。

山あり谷ありのくねくね道を歩いていく途中で、たくさんの旅人たちに出合う。

その都度現れる曲がり角を、
無関心で曲がれるときもあるし、不安に駆られ曲がれないときもある。

ただ、歩いていくことを決めるのは、自分なのだ。

突き当たりだったら、引き返せばいいさ。
すみっこに宝箱があるかどうか、ちゃんとチェックだけはしてね。
右でも左でも、心の選ぶほうに素直に進めばいいさ。
長い道が待っていることには変わりないのだから。

泣いたり、笑ったり、時にはおこったりしながら、
たくさん道草していこう。
道中でもらうお土産、想い出や人との出会いへの感謝だけは忘れないで。

まだ長い旅の途中なんだ。
わたしの道は、どこまでも続く。

日々是空間論
電車


「ご乗車ありがとうございまーす。」

電車に揺られ目的地に向かう。
聞き慣れた車内のアナウンス。
今日も電車は、どこかからどこかへ私たちを運ぶ。

電車の車内はひとつの社会だ。
様々な目的を持った人々が、それぞれの場所へ向かうために乗っている。
時間帯や曜日によって、その顔を変える。


「扉がしまります。ご注意ください。」

朝は、通勤列車。

おしあいへしあい、会社へ向かうサラリーマンたち。
いつもは素敵なあの娘も、この時間だけは、むっつり顔。
仕事のできるあの先輩も、押されてなるものかと戦闘態勢。
携帯ゲームに夢中になる学生や巻頭グラビアに釘付けのおじさまたち。
それぞれ目を合わせない、無表情。
会社という目的地までの道のりは、ただただ、遠い。
月曜日は特に厳しい空気感。


「平日は終日、女性専用車両となっております。」

昼間は、カフェ列車。
奥様や大学生さんやご老人たちが、お友達と一緒にぺちゃくちゃおしゃべり電車。
雰囲気が一気に明るくなります。
きっと楽しい目的地に向かうんでしょうね。
それか、今自体を楽しんでいるのかな。

たまに、いい匂いなんかもしてきたりします。あらあら、もうお昼ごはんなのね。

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「次は、終点~終点です。」

3時の休憩列車。
一気にまったり電車。
先方に向かうまでの仮睡眠場所にしている営業さん。
読書に励むお兄さん、窓の風景をぼーっと眺め続けるおばあさん。
車内が静かになります。
知らない間に寝過ごしちゃって、終点までいっちゃったりして。
ここはドコ??
電車降りて、あわてて先方に電話、なんてね。


「駆け込み乗車はご遠慮ください。」

夜も更け、アルコールの匂いも漂いだす車内。
みんなの会話する声も心なしか大きくなってます。
改札から電車まで猛ダッシュしてきたおじ様、久しぶりの運動に汗だくです。
数人で大笑いしてる若者たち。
それを文句言いたげな顔して見上げる気難しそうなおじさん。
泣いちゃったりしてる人もいます、さっきまで色々あったんですね。
目的地は、きっと、それぞれが自分の感情丸出しのまま戻れる場所。
あったかいお家に帰るべく、みんな揺られてるんですね。


電車は私たちの感情を連れて走る。

今日もいちにちお疲れ様、
明日からもまた頑張っていこう!

「お忘れ物の無いようにお降りくださいませ。」


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「と」透明

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透明なグラスに、注がれる、さまざまな液体。

黄色。
緑。
紫。
黒。

何色もの髪の毛の集団から生まれる。

期待。
思惑。
理想。
欲求。


街中を走り回る、車のエンジン音。
少女の手から生まれる、美しいピアノの音色。
夏を告げる、夜中じゅう鳴き続ける虫の声。
レコードから流れる、デジタル音。
鳴り響く、不協和音。
私の中に、こだまする。


全てはじまりは透明なのに、なぜ私たちは、透明ではないのか。


にごった物体を排除して。
澄んだその目をゆがませた笑顔で、こちらを見つめて。
鏡に映ったその姿を、無色透明に変えて。


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