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あいうえおままごと帳

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「ぬ」ぬるいコーヒー

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ぬるいコーヒーほど飲めないものはない。
淹れたてのものとは、何か違う味がする。

もちろんコーヒーだって、初めからぬるいわけじゃない。
笑顔の店員さんには「ホットコーヒーをください」と注文しているし。

いやぁ。
しかし私は、ぬるいコーヒーを飲む機会が多い。

読みかけの雑誌を読んでいるうちに、
思いついたコトバをメモに書きとめているうちに、
好きな音楽を聴きながらぼんやりと、映画の女優を演じているうちに、
大好きな友達と取り留めのない人生話・恋愛話を繰り広げているうちに。

そんなとき、いつもそこにある。
幸せで大切な時間と引き換えに、コーヒーはぬるくなっていくのね。

そうだ忘れていた、ケーキセットを頼んだのだった。
こんなにおしゃれしてお皿に乗っているケーキが台無しね。
ごめんねといいながら、またコップに手を伸ばす。

「に」にがい

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にがいコーヒーを飲みたい気分。

にかいの窓際の席にいる。

にじが見える、そういえばこの店に入る前に雨が振ってたかしら。

にんげんの記憶なんて本当にアテにならないものね。

にしに沈む太陽が、少しまぶしい。

ニット帽が似合うあの子とは、さっきお別れしたばかり。

あぁ、

にがいコーヒーが今日はうまい。

「な」ながい道

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道は、どこまでも続く。

山あり谷ありのくねくね道を歩いていく途中で、たくさんの旅人たちに出合う。

その都度現れる曲がり角を、
無関心で曲がれるときもあるし、不安に駆られ曲がれないときもある。

ただ、歩いていくことを決めるのは、自分なのだ。

突き当たりだったら、引き返せばいいさ。
すみっこに宝箱があるかどうか、ちゃんとチェックだけはしてね。
右でも左でも、心の選ぶほうに素直に進めばいいさ。
長い道が待っていることには変わりないのだから。

泣いたり、笑ったり、時にはおこったりしながら、
たくさん道草していこう。
道中でもらうお土産、想い出や人との出会いへの感謝だけは忘れないで。

まだ長い旅の途中なんだ。
わたしの道は、どこまでも続く。

「と」透明

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透明なグラスに、注がれる、さまざまな液体。

黄色。
緑。
紫。
黒。

何色もの髪の毛の集団から生まれる。

期待。
思惑。
理想。
欲求。


街中を走り回る、車のエンジン音。
少女の手から生まれる、美しいピアノの音色。
夏を告げる、夜中じゅう鳴き続ける虫の声。
レコードから流れる、デジタル音。
鳴り響く、不協和音。
私の中に、こだまする。


全てはじまりは透明なのに、なぜ私たちは、透明ではないのか。


にごった物体を排除して。
澄んだその目をゆがませた笑顔で、こちらを見つめて。
鏡に映ったその姿を、無色透明に変えて。


「て」てにをは


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ひとつひとつ。

組み立てていこう。


いつか昔、
居たかった場所には、ずっといたくない。

でも、
痛かったところばかり、やっぱりいたい。


ひとつひとつ、


自分に問いかけて。

答えがでるまで。


もうすこし。


ひとつふたつ、みっつ。


使うべきことばを、教えて。

使うべきことばは、なんだった?

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「つ」連れてって


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「連れてって。」


久しぶりにカフェにお出かけした気がするなぁ。

あったかいお天気の休日。


自転車に乗った、カメラ片手の迷子たちが、ふらーりふらーり。


美味しいコーヒーが入ってた、かわいいいちごのコーヒーカップ。
すぐ隣りの雑貨屋さんに売ってた。


思わず買っちゃいそうになったよ。
今日の記念に。


"連れてってくれた記念日"

「ち」ちあき


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ちあき。
わたしのなまえ。

生まれたときからそう呼ばれてる。
だからなのか、とっても気に入っている。
あやうく「ふさえ」になるところだったらしいと言う話は、今は置いておいて。

小さい頃は
小説家とかアナウンサーとか歌手になりたいとかなんやかんやと言っていた。

あらあらと時がたち、子供服が学生服になり、学生服がスーツになって、
今やスーツを脱いでいる。

汗をかきながら泣き笑いしながらふわふわと漂って、大事なことを知っていった。
迷子にもなった。
立ち止まったりもした。

そんなわたしは今、
小説家でも歌手でもない。
多分一生ならないのかもしれない。
人にわかりやすい肩書きなんか、もういらないのかもしれない。

これからもずっと「ちあき」は私のなまえ。

今私がなりたいものは、
ちあきそのもの、であります。


今日も、いちにち、いい日でしたか?

「た」佇む

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夜の街角に佇んで、おもう。

色んな人が歩いている。

顔も性別も趣味も、着ている服装も
それぞれみんなちがう。

おんなじように
物事の捉え方だって
考え方だって違って当たり前なんだろう。

今、全く同じ気持ちでこの場所にいる人はいない。


時計を見る。
約束の時間、10分遅れてる。

もうすぐ走ってこの場所にやってくる人がいる。

すこしでも自分と同じ気持ちだといいな。
なんてね。

夜の街角に佇んで、おもう。

「そ」空耳

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石畳を歩くと、言葉が降ってきた夏の日。


懐かしい気持ちが訪れる。
これは昔自分が体験した気持ちなのか。
想像してるだけなのか。

ふいに呼ばれた気がして、空を仰ぐ。
どこにもいない。
空耳。

どうしようもなくなって振り返ると、
屈託のない笑顔がそこにあった。

太陽の光に反射してキラキラ光っている、
まるで開けたてのソーダ水の泡みたいに。

そのとき、
空耳は消えた。
わたしは確かにそこにいた。

「せ」背中

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いつもより寝すぎた、日曜の午後。

このせまい4畳半の和室で
きみの背中を見ていたい。

まだ寝たりないとぼやく。
なんにも飾らないきみのそのままが好きだ。

レンズを向けると
写真は嫌ってそっぽむいた。

恥ずかしがりやのきみの背中が好きだ。

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